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心の感動

ガンと食事

ガンと食事                    平成21年(2009年)7月

済陽高穗(わたよう たかほ)さま

   がんの再発を防ぐ食事法 済陽高穗(わたようたかほ)
                              
私は消化器が専門の外科医です。30年間に四千例以上の手術をし、そのうち半分の二千例ほどが消化器がんの手術でした。その後、都立病院で七年間に手術した消化器がんの症例千四百二例について術後成績をまとめてみたのです。五年生存率で、52%の患者さんは生還を果たしましたが、残り48%、およそ半分の患者さんが五年以内にがんが再発し、亡くなっていたのです。

 手術という身体に大変な負担を強いる治療を受けても、その半分しか助からないという現実。完全にがんの病巣を取ったと思っても、数年でがんが再発してまた入院してくる。外科医として私は無力感に打ちのめされました。再発をなくすにはどうしたらいいのか、悩んでいたところ、恩師の中山恒明先生にこう言われたのです。

「済陽くん、医者が病気を治すんだと大それたことを考えてはいけない。患者さんの免疫の力を高めてあげるのが一番なんだ。おれが手術で治してやるというのはレベル以下の医者だ。患者さんの治癒力を引き出すのが本当の名医だ」

 この言葉が、私の原点であり、食べ物によるがん治療の研究を始めたきっかけにもなったのです。

 ちょうどその頃、ある肝臓がんの患者さんを手術しました。がんは末期で四カ所に転移しており、ほとんど手遅れの状態でした。なんとか長生きしてもらいたいとの一心で肝臓の半分を切除しましたが、根治手術はできず、多くの病変を残したまま手術を終えました。患者さんが告知を望まれたので三ヶ月がリミットですと伝えたのです。ご家族の強い希望もあって自宅療養することとなりました。

 ところが、その患者さんに奇跡のようなことが次々と起こったのです。三ヶ月後に腫瘍マーカーの値が低下しました。さらに一年半後にはマーカーも正常化し、CTで調べたところ取ることができなかった二カ所のがんの病変が消えていたのです。

 私は驚いて、「何をしていたのですか?」と尋ねました。すると自宅に帰ってから、奥様が毎日、朝は野菜ジュースを作り、昼も夜も五種類以上の野菜、果物を食べさせ、一日一回はキノコ、根コンブ、ハチミツ、納豆を食べさせてくれたというのです。大好きだったお酒も断ち、毎日、こうした奥様の手料理を食べ続けた結果、取り残したがんが消滅してしまったのです。この患者さんのおかげで、たとえ進行がん、晩期がんであったとしても食事による栄養・代謝療法で、病変の改善、治癒が不可能ではないと私は確信したのです。

 その前後に、やはり余命数ヶ月と診断され退院したにもかかわらず、がんの病変が縮小し数年で治ってしまった患者さんを何人か体験しました。その方たちも、玄米菜食、毎朝根コンブなど海藻を食べる、肉食を一切やめたという食事の工夫をされていました。それ以来、私は晩期がんの治癒率を高めるために、海外の文献や日本の食事療法に関する本を読み始めたのです。

 2007年暮れに96歳で亡くなられたメイ牛山さんに「長寿の食卓」という本を贈っていただいたり、大阪・八尾市で50年以上「玄米・生菜食療法」で難病患者を治療してこられた甲田光雄先生にお会いしたりして、私は食事療法の可能性について自分なりの感触を得られるようになりました。

  「がん体質」にならないための八つの項目
 なぜ日本人だけがん患者が増え続けるのか。実はアメリカを始めイギリス、フランス、イタリアなど欧米諸国ではがんによる死亡数が年々減ってきているのです。アメリカでは1973年から1989年にかけてがん患者が増加していましたが、1992年から死亡率が減少しています。それはなぜか。1977年に発表されたマクガバン・レポートがきっかけでした。

 アメリカでがんや心臓病が増え続ける理由を調査したこのレポートでは、(1)肉食中心の食生活ががん、心臓病、糖尿病の原因、(2)野菜摂取減少によるビタミン、ミネラル不足、(3)病気と栄養の問題を医学界が無視してきた、と指摘されたのです。これを受けてアメリカ政府は1979年に「ヘルシーピープル」という健康のための数値目標を作り、1990年には米国国立がん研究所が「デザイナーズフードプロジェクト」を打ち出し、野菜の積極的な摂取を呼びかけました。アメリカのすごいところは、こういう国家プロジェクトをすぐに実行に移し、しかも成果を挙げることでしょう。

 それに対して日本は、本来、肉食は控えめ、米食に魚介類と野菜中心の理想的な食生活だったのが、それを捨てて高脂肪・高たんぱく・高カロリーの欧米的食事に走り、がんを増やしているのです。がんの死亡率(人口10万人あたり)は昭和22年の約70人から右肩上がりに増え続け、平成18年は4倍近い約260人になりました。

 また、医療技術は進んでいるのに、食事や生活の指導をきちんと行っている病院、施設は日本にはまだ少ない。私は、がんの手術を受けた患者を何とか再発させない方法、晩期がんや診断当初から切除不能と見放された患者さんを救う手だてとして、食事療法の模索を始めました。

 がんの発生にはさまざまな原因がありますが、1981年の米国N2H(厚生省研究所)リチャード・ドール博士の統計によると、35%が食物関連、31%がタバコ、飲酒が3%で、食べ物の消化吸収、代謝異常が大きな要因だと指摘しています。つまり、生活習慣を改善すれば、がんの七割近くは防げるということです。また、診療の現場で、手術、抗がん剤、放射線の三大療法に加え、食事を工夫することでしばしば目覚ましい回復が見られるようになりました。その臨床経験から、がんの原因は主に次の四項目に整理されます。

 1 塩分過剰、 2 動物性たんぱく質・脂肪の代謝障害、 3 クエン酸回路障害、 4 血中活性酸素過剰

 がん体質になるかならないかは、食べ物で決まってきます。この四つの原因を防ぐために考え出したのが次の八つの項目です。

(1)塩分(塩化ナトリウム)制限、限りなく無塩に
(2)動物性たんぱく質と脂肪の制限
(3)大量の野菜・果物(低農薬のもの)の摂取。ジュースなら二リットル
(4)玄米、五穀米、全粒小麦、豆腐
(5)乳酸菌(ヨーグルト300ミリリットル)、海藻、キノコ
(6)ハチミツ大匙二杯、レモン二個、エビオス20錠
(7)油はオリーブオイルかごま油
(8)自然水(ナチュラルミネラルウオーター)

 これが一日の基本です。
(1)の塩分については、野菜や果物を食べて体内にカリウムを摂取すると
塩分(ナトリウム)が排泄され高血圧が改善することはよく知られています。人体の細胞内のミネラルは大量のカリウム(ナトリウムの14,5倍)と少量のナトリウムで構成されています。一方、細胞の外の血液やリンパ液などにはカリウムは少なく、ナトリウム濃度が高いのです(カリウムの約30倍)。したがって塩分が濃い食事によって細胞内のナトリウム濃度が上昇し、バランスが崩れると、細胞が傷んで老化やがん化が進みます。胃がんは塩分で胃粘膜が荒れ、ピロリ菌が増殖して発生します。とくに一度がんを体験された方や晩期がんの患者さんは、できるかぎり無塩に近づける努力が必要です。

(2)については、ニューヨーク州コーネル大学のキャンベル教授が「動物
性(Animal、四足歩行動物)のたんぱく質があらゆる物質の中でももっとも発がん性が高い」と言っていますが、人体にとって脂肪とたんぱく質は代謝しにくいものなのです。動物性たんぱく質をとり過ぎると肝臓でさまざまな酵素が活性化され、代謝しにくいたんぱく質の一部に発がん物質のアフラトキシンが組み込まれてがんが発生しやすくなんります。また、植物性油脂の代謝はスムーズですが、飽和脂肪酸を多く含む動物性の脂肪はさまざまな問題を起こします。動物性脂肪によって悪玉のLDLコレステロールが増え、それが活性酸素によって酸化されると、マクロファージがこの悪玉コレステロールを処理するため動員され、機能が麻痺して免疫が低下するのです。

それに比べて代謝しやすいのが炭水化物です。全粒の穀物、中でも玄米は最高の食べ物です。ただし玄米は消化吸収に難点があることと、農薬が胚芽に蓄積されやすいので、無農薬米を選ぶ必要があります。玄米のがんに対する効果は次々と研究が発表されています。また玄米にはビタミンB群やビタミンE、セレン、食物繊維、リノール酸などが多く含まれています。糖の代謝の中心となるクエン酸回路に障害が起こると発がんに関わるという研究があるのですが、そのクエン酸回路に不可欠の補酵素として働くのがビタミンB群です。がんの食事療法として有名なゲルソン療法や進行がんやさまざまな難病の治療にあたられた甲田光雄先生の食事療法も、玄米菜食が基本です。

野菜と果物を効率よくとるにはジュースが最適です。とくに朝一番に飲むジュースは、水分補給にもカリウムを摂取してナトリウムを排出するにも、胃腸を整え身体の錆びを落とすにも効果的です。旬の果物や青菜、ニンジン、緑黄色野菜などをジューサーでしぼります。私は毎朝グレープフルーツ二個とレモン二個でジュースを500ミリリットル作り、ハチミツを加えて飲んでいますが、レモンは抗酸化作用が強く、血流をよくし、キレート作用もあります。キレート作用とは、レモンに含まれるクエン酸がカルシウムや鉄を包み込み、吸収しやすくしてくれるのです。野菜ジュースは、青汁を利用するのもいいでしょう。

ヨーグルトは乳酸菌が豊富に含まれ、海藻、キノコは免疫力を高めるフコイダンやβグルカンが含まれます。私はよく根コンブ茶を飲んだり、根コンブをガム代わりに噛みながら通勤したりもしています。

(8)の自然水には四種類あります。ナチュラルウオーター(ろ過、加熱殺菌された地下水)、ナチュラルミネラルウオーター(特定の地下水源から採水された水で加熱殺菌されていない)、ミネラルウオーター(複数のナチュラルウオーターが原料で、ろ過、加熱殺菌されている)、ボトルウオーター(水源が地下水以外の水、食品衛生法による殺菌がされている)。高齢者やがんなどの病気にかかっている人は、加熱処理していないナチュラルミネラルウオーターが一番です。水分は代謝に不可欠で、心不全や腎障害でもないかぎり、少なくとも一日一リットル以上、できれば二リットルぐらいの水分摂取が望まれます。医学的にも水分を十分にとって尿量を増やすことによって腎臓結石や膀胱炎などの病気を防ぎます。
  二十数カ所のがんが消えていた
 食事療法の威力を痛感したのは、直腸がんが進行し、肝臓に20カ所以上転移した63歳の患者さんのケースです。主病巣である直腸は切除しましたが、肝臓のがんは数が多すぎて根治切除が不可能でした。そこで24時間抗がん剤を注入する「肝動注ポート療法」を行いつつ、減塩、動物性たんぱく質と脂肪を一切とらず、野菜、果物、海藻、玄米による食事療法を施しました。十週間後、大小20カ所以上あった肝臓の転移巣がすべて消えて、二種類の腫瘍マーカーも正常値になったのです。これは抗がん剤の効果に加え、先述した八項目の食事療法によって免疫力が高まったからだと思われます。しかし、食事療法は薬のような即効性はありませんので、一度始めたら絶対にやめないことが大事です。それについては苦い体験があります。

 あるがんセンターで切除不能な食道がんの抗がん剤治療を受けた結果、腎不全になり、私のいた病院の緩和ケアに入院してきた患者さんがいました。腎不全が改善すれば食事療法が可能になりますから、点滴と利尿剤で腎不全を治してから、食事療法を始めたのです。二ヶ月後、病巣がかなり縮小したので、春先に退院して自宅療養にしました。ところが、翌年の正月、病気がよくなって安心したせいか、好物のマグロのトロと熱燗を飲み始め、食事療法を中断してしまったのです。患者さんは再び病状が悪化し、四ヶ月後に亡くなりました。悔やんでも悔やみきれない症例です。

 自宅療養の場合、食事療法を続けるには家族など協力してくれる人の存在が不可欠です。前立腺がんを手術した後、直腸、胃、食堂にがんが見つかった75歳の患者さんの場合、直腸を20センチ、胃を三分の二切除するという大手術をし、食道は内視鏡で処置しました。三週間の入院後、実家に帰られたのですが、食事療法を中断すると再発するおそれがあるので、減塩、玄米菜食中心の食事を守るようお願いしました。その後、その患者さんの依頼で、ホームヘルパーの資格を持つ人が、病院の食事療法について教わりに来ました。朝食はニンジンとレモン一個をジュースにし、ハチミツを加えたもの。しぼりたてのグレープフルーツジュース、リンゴ、バナナ、トースト、カフェオレ。昼食と夕食は玄米に青菜のおひたし、かぼちゃの煮物、大根おろし、煮魚など、塩分はできるかぎり減らし、野菜・果物は無農薬有機栽培のものにする。

 食事療法を始めて七ヶ月後の定期検診のとき、食道のがんはきれいになくなっていました。再発もありません。私は思わず患者さんと握手して「よかったですね」と喜び合いました。

 消化器がんは、食習慣による代謝障害ですから、細胞がその習慣から脱出するまで根気よく続けなければなりません。がんは慢性の代謝病なのです。

50歳で胃がんを手術し、10年後にがんが脊椎に転移して歩行困難になり、車椅子で緊急入院してきた患者さんもいました。MRI検査で、第九、十胸椎にがんが転移し、脊髄が圧迫されていることが判明しました。私はステロイドでむくみをとり、放射線治療を施しました。しびれは改善されましたが、ほかに手段がないので、食事療法を始めたのです。毎日の食事の内容は、無農薬有機栽培の青汁を200cc、玄米菜食、果物、豆腐、納豆、根コンブ、海藻、キノコといったものでした。

 食事療法を続けるうちに、患者さんがみるみる元気になるのがわかりました。二ヶ月後には自力で歩けるようリハビリを始め、そのひと月後に退院して自宅療養することになりました。一年半後に背骨がまっすぐになり、普通に歩けるようになっていたのです。

 これまで食事療法によって治癒した例ばかりを紹介してきましたが、もちろんすべての患者さんががんから生還したわけではありません。私は以前、過去十年間に診察した晩期がんの患者さん70例について、「晩期がんにたいする栄養・代謝指導」という論文を、日本成人病学会で発表しました。

 70例のうち、胃がん17例、結腸・直腸がん18例、胆道がん5例、すい臓がん4例、肝臓がん2例、食道がん5例、前立腺がん3例、その他が16例です。先に記した八項目の食事療法を半年以上続け、さらに抗がん剤を47例に、肝動注ポート療法を5例に、放射線照射を22例に施しました。

 その結果、生存は42例(60%)、死亡は28例(40%)でした。完全寛解は8例、有効は29例、不変2例、進行3例で、奏功率は52.9%でした。まだまだ5割強の奏功率ですが、いずれにせよ、がんを治すのは医者ではなく、患者さん自身の治癒力なのです。がん体質から脱却し、治癒力を高めるには、食事による栄養・代謝療法がいちばん有効だと私は信じています。

    医者の健康法と食事
 さて、「まず隗より始めよ」という言葉通り、医者が不健康では説得力に欠けるでしょう。先に紹介した私の恩師、中山恒明先生は、「食べるな、痩せろ! 外科医たるもの、自分が健康を維持できなければ、患者さんを助けることはできない」と口癖のように言っておられました。中山先生は先年、94歳で天寿を全うされましたが、緑茶が大好きで一日に何杯も飲まれ、自宅の菜園で採れた大根、ジャガイモ、キュウリなど無農薬野菜や果物を毎日食べて、夜8時には就寝されていました。

 また、世界女医会の元会長で東京女子医大名誉教授の三神美和先生は95歳まで週に一回女子医大で診察され、105歳の今も矍鑠とされています。5年前、お花見の宴でご一緒した折、健康法をうかがったところ、「済陽さん、私の朝食は、大根、ニンジン、ヤマイモ、キュウリ、レンコン、セロリ、タマネギ、リンゴなど野菜や果物のすりおろしだけなのよ」とおっしゃられました。お昼はソバかパンを少し食べ、夕食だけ普通にいただくとのことでした。

 私自身はどうしているかといいますと、毎朝5時に起床し、煎茶を二、三杯飲みながら新聞に目を通します。朝食は7時ごろから。先にあげたグレープフルーツ二個をしぼりハチミツ大匙二杯を入れたジュース500ccを飲むことから始めます。週に二回ほどは、そのジュースに大根の葉、小松菜、ほうれん草、キャベツ、レタス、セロリ、パセリなどの新鮮な野菜から作った青汁を100cc加えて飲んでいます。

 食事は玄米、納豆、味噌汁、漬け物、梅干しが原則で、味噌汁の具はシジミ、アサリなどの貝類、ワカメと豆腐、ナメコ、シメジなどのキノコ汁あたりが定番になっています。副菜にモヤシ、タマネギのスライス、キャベツなどの野菜炒めと目玉焼き、大根おろし。大根おろしは湯飲み茶碗一杯を食べます。これはメイ牛山さんが信奉していた栗山食事研究所の栄養指導を取り入れたものです。そして根コンブ一枚を口に入れ、しゃぶりながら家を出ます。

 昼食はリンゴとヨーグルト500ccだけ。それだけだとお腹が空きますので、三時ごろにはバナナやオレンジ、マンゴー、あるいはアーモンドなどのナッツ類を食べます。実はこれにはお手本があって、一昨年98歳で永眠された東北大学の槙哲夫先生のお昼が50年以上リンゴと牛乳だったのです。私も槙先生にあやかってリンゴと牛乳の昼食にしてみたところ、お腹がゴロゴロいって不安定になったため、ヨーグルトに変えました。リンゴの水溶性食物繊維ペクチンには大腸がんを予防する効果がありますが、活性酸素を除去するポリフェノール成分も豊富です。ただこれらの成分はリンゴの皮の部分に多く含まれていますので、皮と一緒にすりおろすといいでしょう。

 外科医にとって視力と体力は生命線です。塩分を控えてカリウムを摂取することはがんを予防するだけでなく、老眼や白内障も予防する効果があります。この昼食はほとんど無塩ですし、朝食もたっぷりカリウムをとっています。また、我が家のしょうゆは減塩しょうゆに同量の酢を入れて使っています。

 私はお酒が好きですので、晩酌は毎日。つまみは野菜の浅漬け、ザーサイ、枝豆、ナッツ、魚介類などで、肉料理は週に一回程度です。夜は比較的食事の制限をゆるやかにしていますが、なるべく9時過ぎには就寝するようにしています。

 しかし、がん患者の方は絶対にお酒を飲んではいけません。アルコールが肝細胞を傷め、代謝や解毒作用を弱めて免疫力を低下させるからです。

    晩期がんをあきらめてはいけない
いろいろ書いてきましたが、減塩、低たんぱく低脂肪、玄米菜食、果物、乳酸菌、海藻、きのこ、水をたっぷりととる食事療法の概要はわかっていただけ
たでしょうか。私の治療方法は、進行がんの場合、なるべく早く手術で病巣を取り除き、最低限の抗がん剤、放射線治療を施しながら、食事療法を並行して行なうものです。がんの病巣だけ切除しても、がんを再発させやすいがん体質は治っていないからです。

晩期がんは治癒率も低く、手術不能、処置不能とされることもあります。残るは緩和ケアしかありません。しかし、食事による栄養代謝療法によって体質が変わり、よくなる患者さんもいるのです。あきらめてはいけません。私の食事療法はまだ完成していませんが、多くの患者さんに生きる喜びを与えていると思います。私のライフワークは、そうした晩期がんの患者さんを少しでも多く助けることです。そして、がんが治るとしたら、それは私の力ではなく、患者さん自身の治癒力によってなのです。



済陽高穗(わたよう たかほ)
都立北寮育医療センター副院長
  前千葉大学医学部臨床教授・医学博士
  西台クリニック院長
  三愛病院研究所所長 


参考資料: 
  「今あるガンが消えていく食事」済陽高穗著 1365円
  「今あるガンが消えていく食事(実践レシピ集)」1200円
両方とも (株)マキノ出版刊
by t-nobukawa | 2010-03-17 18:59
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