心の感動

咀嚼について

ドクター江部の糖尿病徒然日記 
「糖尿病徒然日記 」として糖尿病治療や予防などをテーマに、私なりの意見や情報を発信していきたいと思います。咀嚼について、そして甘みの出るわけ
2007年10月30日 (火)
おはようございます。
今朝は、大阪・豊田歯科・豊田先生からコメントを頂きました。

豊田先生、ご無沙汰しております。
大変貴重なコメントありがとうございます。
この知識、ブログ読者の皆さんにも是非共有して欲しいので、アップさせて頂きました。

それにしても、豊田先生とても早起きなのですね。午前5:34のコメントですから、もっと早く起きておられるのですね。

私も、年齢と共にやや早起きになって、午前6:30起床ですが全然追いつきませんね。

今後もまた、いろいろコメントを頂けば幸いです。よろしくお願い申し上げます。

またお会いできる日を楽しみにしております。

江部康二

以下、豊田先生のコメントです。

「*Comment
■Re:咀嚼回数について

江部先生

大阪・豊田歯科・豊田です。
いつも、著書・資料・ブログなどでいろいろなことを教えていただきまことにありがとうございます。

これだけ充実した内容で毎日更新され、いつも感服しています。

さて、今回の咀嚼回数について、シープシペッタさんに私見をのべさせていただきたくコメントにメールいたしました。

今回、シープシペッタさんの見られたデータは、和洋女子大学柳沢幸江助教授のもので、私は日経ヘルス2001年3月号の記事で知ったのですが、そこの解説では、欧米型食のファストフードは、典型的な和食に比べ、脂質比率が高く、咀嚼回数や食事時間が短い、となっており、脂質と咀嚼回数の関係には言及していません。このプリントの解説は確かに変だと思います。

「ごはん&一汁三菜型の和食」は、ハンバーガーショップのセットメニューよりは、よくかむ食事である、とでもするべきでしょうね。

肉のたん白は草とちがって消化が良いので、あまりかみつぶす必要がないので、肉食動物は肉を引き裂き、のどを通る大きさになれば飲み込みます。

肉食動物の歯は大きくとがっていて(裂肉歯)、歯と歯の間があいていて、肉を引き裂くのに都合がよいのですが、ヒトの歯は、犬歯以外はとがっておらず、歯と歯の間も詰まっているので、肉を引き裂くのには不都合で、硬い肉などは、いつまでもかみ続けることになりがちで、当然かむ回数も多くなります。

歯科医師で料理研究家の田沼敦子先生は、かむ回数を増やすために

1、かみごたえのある食材を使う 
に加えて 
2、乾物や海藻を使う
3、食材は大きく、乱切りにする 
4、漬け物や空揚げなどにして、食材の水分を減らす 
5、かみごたえの違う食材を組み合わせて食べる
6、薄味にする 
7、食べるときに、一口の量を少なくする
ことを提唱されています。

食べ物をよくかむことは食材に特有の味を味わったり、さまざまな栄養成分をうまくとりいれることと深く関わっています。

食べ物は咀嚼されるとその成分が唾液や水に溶けて、分子やイオンの形で舌などの味細胞表面膜の受容体に結合します。

ただし、でんぷんやたんぱく質のようにあまりに分子が大きすぎると、受容体に結合できませんので味がしません。

ご飯の場合は、よくかんでいくと、唾液中の消化酵素アミラーゼが働いて、でんぷんが一部、麦芽糖に分解されて甘さが出ておいしく感じます。

糖質の量が変わらず、形態が変わります。麦芽糖はブドウ糖が2個つながったものです。

なお、砂糖の甘さを100とした場合、ブドウ糖は74、果糖は175、乳糖は16の甘さとなります。
  
参考図書
「ようこそ!歯のふしぎ博物館へ」
 岡崎好秀著 大修館書店
「味のなんでも小事典(P152-153)」日本味と匂学会編 講談社ブルーバックス

以上、少しでも参考になれば、幸いです。
江部先生、長いメールになってすみません。今後ともよろしくご指導お願いいたします。

豊田歯科 豊田裕章 | 2007.10.30(火) 05:34 | 」

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糖質制限食と咀嚼回数
2007年10月29日 (月)
こんばんは。
朝夕は寒いくらいですが、日中はまだ結構暑い京都です。
今日は、シープシペッタさんの質問に答えて、咀嚼回数と健康について検討してみます。私も、興味ある話題なので、一頑張りしていろいろ調べてみました。

「■食べ物と咀嚼回数と健康の関係についての質問です。

こんにちは。先日は食育についての質問にお答えくださりありがとうございました。とても勉強になりました。
またまた質問させてください。私自身は糖尿病ではないので、ちょっと脱線した話題になりますが、ドクター江部にぜひ、ご意見をうかがいたく、コメントさせてもらいます。

今日息子が幼稚園からもらってきた「たのしくたべようニュース」というプリントに、「食事でかわる! かむ回数」という特集が組まれていました。

それは、同じカロリーの和食とファーストフードで、かむ回数比べをして、和食のほうが、かむ回数が多いので、和食を見直しましょう、という内容でした。

その献立は、和食は「ごはん、みそ汁、焼き魚(さんま)、きんぴらごぼう、ほうれんそうのおひたし」で、ファーストフードは「ハンバーガー、フライドポテト、コーンスープ」で、かんだ回数は和食は1019回、ファーストフードは562回となっていました。

そして、解説に「ファーストフードは和食にくらべて、かむ回数や食事時間が半分くらいです。その原因は、脂質の量などが関係しています。脂質が多い食べ物は、やわらかいので、かむ回数が自然に少なくなり、栄養面にも偏りがあります。ハンバーグのように、食べ物は加工されるとかみごたえが少なくなっていきます。一方和食は、野菜(根菜・葉菜)や海藻など、かみごたえのある食材が使われているので、かむ回数は多くなります。ファーストフードと同じくらいのエネルギー量でも栄養バランスがとれています。昔から伝えられてきた和食は、素材を生かしたよくかんで食べるものが多いので、もっと食卓に取り入れるようにしましょう」とありました。

このプリントを読んだ私の感想は、和食やファーストフードという言葉の位置づけがあいまいだし、全体にこの説の根拠が不明。ここでもやはり脂質は悪者扱い。アメリカの小児科医の報告で、乳幼児の脳の発達には、上質の脂質が必要という文献を読んだこともある私にとっては、偏った指導のように感じました。またなにより疑問に思うのは、「食の安全性」については一切触れられていないことでした。

我が家では、大ざっぱではありますが、「自然に近い形で作られた食べ物はカラダにいい、工場で作ったものはカスカスで栄養にも力にもならない」というように子どもに教えています。その観点に立てば、やはりファーストフードは工場製品なので、日常的に子どもには食べてほしくない食品となります。

先日、ブログ上で、ドクター江部に食育についてのご指導を受け、いろいろ考えさせられる日々ですが、私自身、毎日の食生活でいちばん大事にしているのは、「安全な素材を、その素材の持ち味を生かした調理法でいただく」ということです。

とくに子どもには、味覚が育つ大事な時期にいるので、なにを食べているかわからないような凝った献立でなく、シンプルなものを食べてもらいたいな、と思っています。その意味では、やっぱりファーストフードよりは、家で作る和食のほうがいいな、と思います。

咀嚼という意味でもっとつっこんでいえば、玄米や黒パンのほうがしっかり嚼まないとなりませんし、GI値も低い優秀な食べ物ということになりますよね。

ですので、和食はかみごたえがあって、ファーストフードはかみごたえがない、というのは、あまりにもいい加減な説と感じてしまいます。和食でも、おかゆはまったくかみごたえがないですものね。プリントには、かみごたえがある食材として野菜があがっていて、ごぼうなどの繊維の多い根菜ならわかりますが、生で食べるならまだしも、じゃがいももかみごたえがあるのかちょっと不思議だし、ほうれんそうもかみごたがあるといえるのか不思議でした。しかも、さんまもかなり脂質の多い魚ですし、しっかりかまなくても食べられるのでは? なんて、思ったり。深く考えるとなにが言いたいのかがどんどんわからなくなりました。このプリントの真意はどこにあるのでしょうか?
 
それで、ドクターに質問です。食べ物と咀嚼回数と健康の関係について、どのようにお考えでしょうか?

また、嚼むことによって、甘味が増す食材もありますが、糖分はその時点で増しているのでしょうか? それとも味は変わっても性質は変わらないのでしょうか? 教えてください。
シープシぺッタ | 2007.10.26(金) 20:50 | 」


シープシペッタさん。コメント・質問ありがとうございます。
仰るとおり、食品の咀嚼回数を和食と洋食で単純に比較することは無理がありますね。

豆腐(和食)VSロースステーキ(洋食)、咀嚼回数どちらが多いか明白ですよね。

ロースは脂肪たっぷりですが、噛み応えもとてもしっかりで、玄米よりもゴボウよりもほうれん草よりも、はるかに咀嚼回数は多くなります。

因みにロース肉100g中に、「たんぱく質13.8 g、脂質37.4g、炭水化物0.2 g 」が含まれています。

「脂質が多い食べ物は、やわらかいので、かむ回数が自然に少なくなる」なんてとんでもない誤解ですね。

私はもともと玄米魚菜食中心でしたが、2002年自分が糖尿病とわかってからは 糖質制限食です。それではっきりしたことは、明らかに 糖質制限食のほうが食事時間が長くなります。即ち、咀嚼回数も多くなります。

一般的な食材で、咀嚼回数が多くなるのは間違いなく動物の肉です。中でも、やや安めの輸入牛肉とかは超硬いですね。

東国原英夫知事推奨の宮崎産地鶏、近所のリカマンで、霧島山麓とれとれ村「赤どり炭火焼き」を買って食べてますが、これも半端な固さではありません。余程歯が丈夫な人でないと、到底食べれないと思います。

豚肉や羊の肉も、やはり咀嚼回数は多いです。魚介類の中ではイカやタコや貝類は結構噛みますよね。

結局、咀嚼回数に関しては和食も洋食も関係なく、食材によるということでしょうね。

そして、動物性タンパク質が一番咀嚼回数は多くなるので、必然的に「 糖質制限食」ならしっかり噛むことになりますね。

斎藤滋・神奈川歯科大学教授のグループの再現メニューによる研究では、卑弥呼の時代は、1回の食事(ハマグリの潮汁、アユの塩焼き、ナガイモの煮物、カワハギの干し物、ノビル、クルミ、クリ、もち玄米のおこわ)でかむ回数が3990回、時間は51分だったのが、時代とともに減少していき、戦前の食事(大豆のみそ炒め、たくあん、野菜のみそ汁、ニンジンとダイコンなどの煮物、麦飯)では回数が1420回、時間は22分になり、現代の食事(コーンスープ、ハンバーグ、スパゲッティ、ポテトサラダ、プリン、パン)では回数で620回、時間はたったの11分という結果になったそうです。

糖質制限食実践者の縄文人は、もっと咀嚼回数は多かったでしょうね。

斉藤先生によれば
*噛むと満腹中枢を働かせる信号が速やかに伝わる→ダイエット効果
*噛むと食べ物を効率よく消化吸収できる
*噛むと頭の働きがよくなる
*噛むと痴呆が予防できる
*噛むとあごの骨が強くなる
*噛むと顔の筋肉と骨が鍛えられ、しわの予防になる
*噛むと虫歯が予防できる
*噛むと味覚神経が敏感になる
*噛むとがんが予防できる

など様々な効果が期待できるそうです。
【咀嚼とヘルスケア/運動能力を左右する噛む力】 -- 斎藤 滋
http://www.natureinterface.com/j/ni01/P054-057/

やはり咀嚼回数が多いことはとても良いことのようですね。

「嚼むことによって、甘味が増す食材もありますが、糖分はその時点で増しているのでしょうか? それとも味は変わっても性質は変わらないのでしょうか?」

確かに玄米など噛めば噛むほど甘みがでてきて、100回噛めなどど言われてますよね。

しかし、その玄米中に含まれる糖質の量は一緒です。咀嚼することで出てくる糖質以外の何らかの成分で甘く感じるのでしょうかね?
 
結論です。

和食でも洋食でも中華でも何でもいいので、 糖質制限食なら咀嚼回数はばっちり確保ですね。

江部康二

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18:31 | 咀嚼 | トラックバック (0) | コメント (1)
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# by t-nobukawa | 2010-03-18 17:35

植物が地中から鉄分を吸収しているプロセス

鉄 137億年の宇宙誌          2009年(平成21年)11月3日(水)
                             東京大学総合研究博物館

 地殻中の元素の約5%を占める鉄は、土壌中には大量に存在する。しかし、畑土壌では、鉄は水酸化第二鉄のような水に溶け難い3価の鉄として存在しているために植物は利用することができない。土壌中の難溶性の鉄を吸収して利用するために植物は大きく分けて2つの鉄獲得機構を進化的に発達させてきた。
       還元戦略 と
       キレート戦略 である。
 イネ科以外の植物は、3価の鉄を2価鉄イオンに還元して可溶化して吸収する還元戦略をとる。
 これに対して、イネ、ムギ、トウモロコシなど、主要な穀物が属するイネ科の植物は、キレート物質であるムギネ酸類を根から分泌して、土壌中の3価鉄を水に溶けやすいキレート化合物にして「3価鉄・ムギネ酸類」のままで吸収するキレート戦略をとっている。

 鉄が多様な局面で生命に使われている理由は2つ挙げられる。
 一つは、鉄が多くの化学物質と配合結合を作りやすく、生命にとって重要な多くのキレート化合物を作ることが可能であることである。

 また、鉄は環境によって2価(還元型)または3価(酸化型)のイオンになるが、鉄の化合物は電子を受け取ったり(還元)、電子を放出したりする(酸化)ことを安定して繰り返すことである。

 それ故に、生体内における
酸化還元反応
呼吸によるエネルギー産生
植物の光合成 
などに必要な電子伝達が可能なわけである。

 植物が生きるために鉄が必須――私達人間を含めて地球上のほぼすべての生物は、生命活動に必須な金属元素として鉄を必要としている。

鉄は細胞内のミトコンドリアにおけるエネルギー産生など、生命体に必須の諸機能の活性中心で作用しており、鉄がなければ地球上の生命体は生きることができない。
Iron vital to plant and animal life
今から1億年くらい前の白亜紀と呼ばれる時代に地球は最も暖かい時代を迎えていた。大型の陸上動物が出現し、恐竜が繁栄していた。ところが、およそ6500万年前に、一説には隕石の衝突による影響で、多くの生命が絶滅し、この繁栄に急に終止符が打たれる。その激動の時代を哺乳類が生き延びた。

 哺乳類は酸素を吸って生活している。私たちも含む哺乳類は、栄養物を酸素と反応させることによって、生存のために必要なエネルギーを得ているのだ。興味深いことに、この目的のために鉄は2つの中心的な役割を果たしている。
 1つ目は、体内に取り入れられた酸素を体の隅々まで行き渡らせること
 2つ目は、エネルギーを生成する上で電子の効率的な伝達を行うことである。
 
 実は、こうして鉄がエネルギー生産に重要な役割を果たしているのは、哺乳
類だけではない。

 拡散だけで生体内の輸送が間に合う小さな生物を除けば、あらゆる生き物に
おいて体のさまざまな部分へ酸素を輸送し、エネルギーを得るという意味で同
一の仕組みが必要なのだ。

 それどころか、光合成反応であっても、これに類似した経路で、しかし光エ
ネルギーを用いて、逆に進んでいる。つまり地球上のほぼ全ての生命体におい
て、鉄は重要な役割をはたしているのだ。

 生物が鉄を利用するようになった理由として鉄の2つの性質があげられる。
すなわち多くの化学物質と配位結合しやすく、キレート化合物を作れることと
環境に応じて酸化還元反応(電子の授受)を安定的に行えることである。

 鉄は、二価(還元型)または三価(酸化型)のイオンになるが、土壌環境に
よっては植物が吸収し難い三価イオンとして存在している。そのため、植物は
土壌中の鉄をとりこんで利用するための戦略を進化的に発達させてきており、
イネ科の植物からは三価の鉄をキレート化合物にするムギネ酸類と呼ばれる物
質が見つかっている。

 一方、動物は血液によって酸素を運搬し吸収しているが、我々ヒトを含む多
くの動物の血液が赤く見えるのは、赤血球中にへムタンパク質であるヘモグロ
ビンが含まれているからである。

 鉄は生物個体にとって重要なだけではなく、広く地球・海洋システムにおい
ても鉄を用いて知ることが可能である。海洋上で鉄を散布する実験により海洋
植物プランクトンの増減においても鉄が重要であることが明らかにされてきた。

              東京大学
                農学部 生命科学研究科 酵素学研究室

























   筆記者: 信川忠道     千葉県浦安市弁天2-27-8
        電話・FAX  047-353-1628
メールアドレス: t.nobukawa@jcom.home.ne.jp
    
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# by t-nobukawa | 2010-03-18 17:22

にんにくについて (野川福江さんのお話)

にんにく                 平成21年(2009年)7月12日(日) 
野川福江さんの演談

      大蒜(にんにく)について

今日も健康で学べます身を感謝いたします。

大蒜(にんにく)は古くから人々に珍重されていますが、最近になって身体に良いということが解明されて参りました。紀元前4000年の古代エジプトの王様の墓からにんにくの粘土模型が発見されたのに始まり、紀元前1500年前に書かれた薬物治療書パピルスに紹介され、シルクロードを渡って中国へ伝わり、中国では心筋梗塞や脳梗塞に使われ、日本では百済との国交が始まった西暦360年頃から香辛料や強壮剤として使われていたようです。1892年、ドイツのゼムラー氏は匂い成分を硫化アリルと命名、米国のガバリー氏等が細胞を破壊すると抗菌作用をもった匂い成分「アリシン」が発生すると言い、1951年にはスイスのストール氏等が細胞内のアイリンとアイリナーゼという酵素が反応することで、アリシンが出来るというメカニズムを解明しました。
にんにくをアルミホイルで包んで焼いても匂いはせず、一寸傷つけた時に臭を発生するアリシンは不安定で、スルフィド類に変化して空中に飛散します。

大蒜(にんにく)の薬効四つについて:
 
(1) 1990年米国の国立ガン研究所がガン予防に効果が期待されると発表。米国ではその後、大蒜の消費量が三倍にはね上がったとのことです。日本の有賀氏の研究によって、アリシンが変化したスルフィド類がガン細胞の増殖を抑えると共に、正常細胞に戻し、ガン細胞を死滅させることが突き止められました。

(2)血をさらさらにする、血小板凝集抑制作用があります。すなわち、脳梗塞、心筋梗塞の予防となります。

(3)スタミナ増強作用あり(ビタミンB1の利用効率をアップする)。ビタミンB1は糖類(白米、糖分)をエネルギー化するために不可欠で、不足すると疲労を蓄積することになります。夏に糖分の沢山入った清涼飲料水をがぶ飲みすると、ビタミンB1が不足して夏バテに至ります。ビタミンB1は水溶性で吸収が悪く、体内には殆ど蓄えられません。しかし、アリシンと結合してアリチアミン(アリナミン)という物質になると脂溶性となり、吸収率が10倍になります。その結果、ビタミンB1としての働きが長時間持続し、アドレナリンとノルアドレナリンの分泌も促します。

(4)殺菌効果(胃癌、風邪、水虫に効果があります)

(5)アリシンは酸素O2がくっついた構造をしていて、酸素O2を鉄砲玉のように、バクテリア細菌にぶっつけて殺します。これは白血球が活性酸素O2を出して殺菌するのと同じです。

(6)アリシンが分解して、菌の中のEW(蛋白質)と結合し、増殖を防ぎ、殺菌作用をします。ピロリ菌退治にも効果あります。

初期の風邪には、にんにくの免疫増強作用がVirus退治を後押しします。

水虫にも、すり潰して患部に塗り、10分後に洗い流します。

次ぎに効果を引き出すにんにく調理法:
先ず、にんにくオイルを作ります。刻んだにんにくを油に浸けます。調味オイルで揮発性の高いアリシンはスルフィド類となって油に溶け出し安定します。このオイルを百度C以下で熱すると、アホエンも作られます。最初から熱した油に入れたり、焦がしてしまうと成分が飛んでしまいます。常温の油に入れて熱するのがポイントです。

一点だけ気をつけること:
アリシンは胃の粘膜を痛めることもあるので、空腹時に単独でとることは避けた方が良いです。にんにくの効用は食べたあと、二日~四日持続するので、週に一回か二回食餌にとり入れると良いでしょう。

このような方法で今後の暑さに負けないよう、喜んで進んで働くことをお誓い申し上げます。
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# by t-nobukawa | 2010-03-18 17:16

ガンには分岐点がある



ガンには分岐点がある



          平成15年(2003年)9月17日(水)



初めに: 先に 安保徹(あぼ とおる)先生の「免疫療法」を御紹介いたしましたが、

医師でもない、体験者でもない、私が勝手なことを述べるのは如何なものかと思って

いましたところ、

    新赤坂クリニック院長 松木康夫先生か書かれた

    「余生堂々 六十歳から始まる黄金の人生」 祥伝社 1600円

    平成15年4月30日発行 という本に

    「ガンには 分岐点 がある」と題した文章があり(132ページ)、

    皆様のご参考になると考えて ここで 御紹介させていただきます。



第四章 「守り」を固める: 「三大死因」「生活習慣病」に勝つために



日本人の三大死因――ガン,心臓病、脳卒中



前章まで、肉体や脳や心を積極的に鍛える「攻めの健康法」を紹介してきました。

しかし、攻めるだけではやはり完璧とは言えません。きちんと「守り」を固めておく

ことも必須です。防衛戦争をするのに、敵がよくわからないのでは、撃退する見込みが

極端に低くなってしまうからです。

孫子の兵法にもあるとおり「敵を知る」のは、すべての戦いの基本です。経済戦争で

奮闘される皆さんなら、よくご存知だと思いますが、まず私達の健康の敵は何か、

明確にすることから始めましょう。

日本人の死因を調べると、一位がガン、二位が心疾患、三位が脳血管障害(脳卒中)と

なっています。 すなわち「三大死因」です。 以下、肺炎、不慮の事故、自殺、老衰、

腎不全、肝疾患、慢性閉塞性肺疾患と続きます。

第二の人生を送る高齢者の場合、三大死因が死亡者の65%を占め、また10位までの

死因のうち、三大死因を含め「生活習慣病」が跋扈していることがわかります。

つまり健康を守るべき相手、敵とは生活習慣病であり、とりわけガン、心疾患、脳血管

障害の三つに対する防衛戦略を徹底する必要があるのです。



昭和56年以来、わが国の死因トップを独走しているのがガンです。 最近では、なんと

1年間に30万人という膨大なる数の命を奪っています。

30万人といえば、二位の心疾患、三位の脳血管障害(脳卒中)で亡くなった人を合わせた数に匹敵します。 日本人の死因として突出しており、地方の中都市の人口にあたる数が、毎年ガンで亡くなっていることになります。

これが、医学が未発達な発展途上国ならいざしらず、世界でもトップレベルといわれる

日本での話です。日本は早期発見の技術も、システム(人間ドック)も、また早期発見後の外科手術も、いずれも世界のトップレベルです。 それなのに、なぜ三十万人もの人が

ガンで毎年亡くなるのでしょう。 これには二つの理由があると思います。

第一は、患者さんが早期のうちに医者の前に現われてくれないことです。

よくマスコミから「早期ガンの自覚症状は」と聞かれますが、私の答えはいつも同じです。

早期ガンの自覚症状など「ない、皆無」なのです。早期どころか、分岐点(後述)を少し

過ぎたガンの人が、平気でゴルフを楽しみ、徹夜の麻雀を打ち、国際会議で活躍しているのを、私はどのくらいたくさん見てきたことでしょう。

 

ガンには「分岐点」がある



ガンには「発生」と「死」の間に必ず分岐点があります。その人の運命を生と死、天国と

地獄に分ける点です。

分岐点の前に発見して手術で除去すれば、今の日本の医学なら98パーセントのガンは完治します。1-2年寿命が延びるわけではなく、完全に治るのです。一方、分岐点を過ぎると、残念ながら今の医学では歯が立たず、ほとんど絶望的です。小火(ぼや)のうちなら消し止めることができますが、ある程度燃え広がったら、いかに消火に努めても全焼してしまうのと同じ原理でしょう。

こんな簡単な理論なのに、賢いはずの日本人が毎年三十万人も、分岐点を過ぎるまで待ってから来院するのはなぜでしょう。

それはガンの症状が分岐点を過ぎて出現するからです。

しこりがある、痩せてきた、吐血、喀血、下血、性器出血などの「自覚症状が出てから

医者に行こう」という、昔からの医者のかかり方をしていれば、ほとんどの人が手遅れの状態で来院することになるのです。

ある程度進行したガンに対しては、専門医が大勢いて設備が整っている大学病院といえども、無力というのが実情です。ガンの治療に関しては、現在、どの病院でどんな名医が手術したかはあまり問題になりません。それよりも「いつ発見されたか」が最も重要な点なのです。

そして第二の理由は、早期ガンが発見された後の行動にあります。

早期ガンなら98パーセント完治するのに、手術を逡巡する人がいまだに多くいるのです。

どんな軽い手術の場合でも手術が怖いのは当然ですが、ガンの手術をためらうほとんどの人が、分岐点を過ぎてから手術を受けた人の話を聞いて怖がってしまうのです。先述のごとく、同じガンでも分岐点の前の早期ガンと、その後の進行ガンでは手術結果がまったく

違うことをはっきり知っていただきたいと思います。

分岐点後には手術を勧めない場合も多いのですが、それでも藁にもすがる思いで手術を受ける人もいます。その場合は、抗ガン剤や、放射線治療などを併用することになりますが、

結果はよくないケースが多いのです。

その分岐点後の手術の話を人から聞いて真に受け、せっかく98パーセント治る分岐点前なのに、手術を断念する人がいるのは、まことに惜しい話ではないでしょうか。

巷(ちまた)にあふれる「善意の情報」も、手術をためらわせます。

私がある患者さんに、国際的な業績を持つガン専門医を紹介したところ「典型的な早期のガンで、98パーセント以上の確率で完治する」と太鼓判が押されました。患者さんも喜んで、すぐ入院し、一週間後に手術の運びとなりました。 ところが、問題はそれからでした。その患者さんは、顔が広く面倒見もよい人だったので、無数といってもよいくらいの情報が寄せるられたのです。

漢方薬、栄養食品、鍼灸、温熱療法、ハーブ、そのほか民間療法で手術せずガンが治った話だとか、はては術後に苦しんで亡くなった親戚の例をとうとうと述べる人まで現れる始末でした。手術中止を助言する人たちも現れ、蜂の巣をつついたような大騒ぎになりました。患者さんの心は揺れ動きましたが、 結局、手術を受けて翌日からは食事をして歩き、

一週間で退院しました。診断どおり完治したのです。

結果的には、めでたしめでたしでしたが、情報過多時代の恐ろしさを身をもって体験しました。発生したガンを診断もせず放置すれば、その人の運命は必ず死をたどることになるのですから。                             以下 略
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# by t-nobukawa | 2010-03-18 17:11

ガンと食事

ガンと食事                    平成21年(2009年)7月

済陽高穗(わたよう たかほ)さま

   がんの再発を防ぐ食事法 済陽高穗(わたようたかほ)
                              
私は消化器が専門の外科医です。30年間に四千例以上の手術をし、そのうち半分の二千例ほどが消化器がんの手術でした。その後、都立病院で七年間に手術した消化器がんの症例千四百二例について術後成績をまとめてみたのです。五年生存率で、52%の患者さんは生還を果たしましたが、残り48%、およそ半分の患者さんが五年以内にがんが再発し、亡くなっていたのです。

 手術という身体に大変な負担を強いる治療を受けても、その半分しか助からないという現実。完全にがんの病巣を取ったと思っても、数年でがんが再発してまた入院してくる。外科医として私は無力感に打ちのめされました。再発をなくすにはどうしたらいいのか、悩んでいたところ、恩師の中山恒明先生にこう言われたのです。

「済陽くん、医者が病気を治すんだと大それたことを考えてはいけない。患者さんの免疫の力を高めてあげるのが一番なんだ。おれが手術で治してやるというのはレベル以下の医者だ。患者さんの治癒力を引き出すのが本当の名医だ」

 この言葉が、私の原点であり、食べ物によるがん治療の研究を始めたきっかけにもなったのです。

 ちょうどその頃、ある肝臓がんの患者さんを手術しました。がんは末期で四カ所に転移しており、ほとんど手遅れの状態でした。なんとか長生きしてもらいたいとの一心で肝臓の半分を切除しましたが、根治手術はできず、多くの病変を残したまま手術を終えました。患者さんが告知を望まれたので三ヶ月がリミットですと伝えたのです。ご家族の強い希望もあって自宅療養することとなりました。

 ところが、その患者さんに奇跡のようなことが次々と起こったのです。三ヶ月後に腫瘍マーカーの値が低下しました。さらに一年半後にはマーカーも正常化し、CTで調べたところ取ることができなかった二カ所のがんの病変が消えていたのです。

 私は驚いて、「何をしていたのですか?」と尋ねました。すると自宅に帰ってから、奥様が毎日、朝は野菜ジュースを作り、昼も夜も五種類以上の野菜、果物を食べさせ、一日一回はキノコ、根コンブ、ハチミツ、納豆を食べさせてくれたというのです。大好きだったお酒も断ち、毎日、こうした奥様の手料理を食べ続けた結果、取り残したがんが消滅してしまったのです。この患者さんのおかげで、たとえ進行がん、晩期がんであったとしても食事による栄養・代謝療法で、病変の改善、治癒が不可能ではないと私は確信したのです。

 その前後に、やはり余命数ヶ月と診断され退院したにもかかわらず、がんの病変が縮小し数年で治ってしまった患者さんを何人か体験しました。その方たちも、玄米菜食、毎朝根コンブなど海藻を食べる、肉食を一切やめたという食事の工夫をされていました。それ以来、私は晩期がんの治癒率を高めるために、海外の文献や日本の食事療法に関する本を読み始めたのです。

 2007年暮れに96歳で亡くなられたメイ牛山さんに「長寿の食卓」という本を贈っていただいたり、大阪・八尾市で50年以上「玄米・生菜食療法」で難病患者を治療してこられた甲田光雄先生にお会いしたりして、私は食事療法の可能性について自分なりの感触を得られるようになりました。

  「がん体質」にならないための八つの項目
 なぜ日本人だけがん患者が増え続けるのか。実はアメリカを始めイギリス、フランス、イタリアなど欧米諸国ではがんによる死亡数が年々減ってきているのです。アメリカでは1973年から1989年にかけてがん患者が増加していましたが、1992年から死亡率が減少しています。それはなぜか。1977年に発表されたマクガバン・レポートがきっかけでした。

 アメリカでがんや心臓病が増え続ける理由を調査したこのレポートでは、(1)肉食中心の食生活ががん、心臓病、糖尿病の原因、(2)野菜摂取減少によるビタミン、ミネラル不足、(3)病気と栄養の問題を医学界が無視してきた、と指摘されたのです。これを受けてアメリカ政府は1979年に「ヘルシーピープル」という健康のための数値目標を作り、1990年には米国国立がん研究所が「デザイナーズフードプロジェクト」を打ち出し、野菜の積極的な摂取を呼びかけました。アメリカのすごいところは、こういう国家プロジェクトをすぐに実行に移し、しかも成果を挙げることでしょう。

 それに対して日本は、本来、肉食は控えめ、米食に魚介類と野菜中心の理想的な食生活だったのが、それを捨てて高脂肪・高たんぱく・高カロリーの欧米的食事に走り、がんを増やしているのです。がんの死亡率(人口10万人あたり)は昭和22年の約70人から右肩上がりに増え続け、平成18年は4倍近い約260人になりました。

 また、医療技術は進んでいるのに、食事や生活の指導をきちんと行っている病院、施設は日本にはまだ少ない。私は、がんの手術を受けた患者を何とか再発させない方法、晩期がんや診断当初から切除不能と見放された患者さんを救う手だてとして、食事療法の模索を始めました。

 がんの発生にはさまざまな原因がありますが、1981年の米国N2H(厚生省研究所)リチャード・ドール博士の統計によると、35%が食物関連、31%がタバコ、飲酒が3%で、食べ物の消化吸収、代謝異常が大きな要因だと指摘しています。つまり、生活習慣を改善すれば、がんの七割近くは防げるということです。また、診療の現場で、手術、抗がん剤、放射線の三大療法に加え、食事を工夫することでしばしば目覚ましい回復が見られるようになりました。その臨床経験から、がんの原因は主に次の四項目に整理されます。

 1 塩分過剰、 2 動物性たんぱく質・脂肪の代謝障害、 3 クエン酸回路障害、 4 血中活性酸素過剰

 がん体質になるかならないかは、食べ物で決まってきます。この四つの原因を防ぐために考え出したのが次の八つの項目です。

(1)塩分(塩化ナトリウム)制限、限りなく無塩に
(2)動物性たんぱく質と脂肪の制限
(3)大量の野菜・果物(低農薬のもの)の摂取。ジュースなら二リットル
(4)玄米、五穀米、全粒小麦、豆腐
(5)乳酸菌(ヨーグルト300ミリリットル)、海藻、キノコ
(6)ハチミツ大匙二杯、レモン二個、エビオス20錠
(7)油はオリーブオイルかごま油
(8)自然水(ナチュラルミネラルウオーター)

 これが一日の基本です。
(1)の塩分については、野菜や果物を食べて体内にカリウムを摂取すると
塩分(ナトリウム)が排泄され高血圧が改善することはよく知られています。人体の細胞内のミネラルは大量のカリウム(ナトリウムの14,5倍)と少量のナトリウムで構成されています。一方、細胞の外の血液やリンパ液などにはカリウムは少なく、ナトリウム濃度が高いのです(カリウムの約30倍)。したがって塩分が濃い食事によって細胞内のナトリウム濃度が上昇し、バランスが崩れると、細胞が傷んで老化やがん化が進みます。胃がんは塩分で胃粘膜が荒れ、ピロリ菌が増殖して発生します。とくに一度がんを体験された方や晩期がんの患者さんは、できるかぎり無塩に近づける努力が必要です。

(2)については、ニューヨーク州コーネル大学のキャンベル教授が「動物
性(Animal、四足歩行動物)のたんぱく質があらゆる物質の中でももっとも発がん性が高い」と言っていますが、人体にとって脂肪とたんぱく質は代謝しにくいものなのです。動物性たんぱく質をとり過ぎると肝臓でさまざまな酵素が活性化され、代謝しにくいたんぱく質の一部に発がん物質のアフラトキシンが組み込まれてがんが発生しやすくなんります。また、植物性油脂の代謝はスムーズですが、飽和脂肪酸を多く含む動物性の脂肪はさまざまな問題を起こします。動物性脂肪によって悪玉のLDLコレステロールが増え、それが活性酸素によって酸化されると、マクロファージがこの悪玉コレステロールを処理するため動員され、機能が麻痺して免疫が低下するのです。

それに比べて代謝しやすいのが炭水化物です。全粒の穀物、中でも玄米は最高の食べ物です。ただし玄米は消化吸収に難点があることと、農薬が胚芽に蓄積されやすいので、無農薬米を選ぶ必要があります。玄米のがんに対する効果は次々と研究が発表されています。また玄米にはビタミンB群やビタミンE、セレン、食物繊維、リノール酸などが多く含まれています。糖の代謝の中心となるクエン酸回路に障害が起こると発がんに関わるという研究があるのですが、そのクエン酸回路に不可欠の補酵素として働くのがビタミンB群です。がんの食事療法として有名なゲルソン療法や進行がんやさまざまな難病の治療にあたられた甲田光雄先生の食事療法も、玄米菜食が基本です。

野菜と果物を効率よくとるにはジュースが最適です。とくに朝一番に飲むジュースは、水分補給にもカリウムを摂取してナトリウムを排出するにも、胃腸を整え身体の錆びを落とすにも効果的です。旬の果物や青菜、ニンジン、緑黄色野菜などをジューサーでしぼります。私は毎朝グレープフルーツ二個とレモン二個でジュースを500ミリリットル作り、ハチミツを加えて飲んでいますが、レモンは抗酸化作用が強く、血流をよくし、キレート作用もあります。キレート作用とは、レモンに含まれるクエン酸がカルシウムや鉄を包み込み、吸収しやすくしてくれるのです。野菜ジュースは、青汁を利用するのもいいでしょう。

ヨーグルトは乳酸菌が豊富に含まれ、海藻、キノコは免疫力を高めるフコイダンやβグルカンが含まれます。私はよく根コンブ茶を飲んだり、根コンブをガム代わりに噛みながら通勤したりもしています。

(8)の自然水には四種類あります。ナチュラルウオーター(ろ過、加熱殺菌された地下水)、ナチュラルミネラルウオーター(特定の地下水源から採水された水で加熱殺菌されていない)、ミネラルウオーター(複数のナチュラルウオーターが原料で、ろ過、加熱殺菌されている)、ボトルウオーター(水源が地下水以外の水、食品衛生法による殺菌がされている)。高齢者やがんなどの病気にかかっている人は、加熱処理していないナチュラルミネラルウオーターが一番です。水分は代謝に不可欠で、心不全や腎障害でもないかぎり、少なくとも一日一リットル以上、できれば二リットルぐらいの水分摂取が望まれます。医学的にも水分を十分にとって尿量を増やすことによって腎臓結石や膀胱炎などの病気を防ぎます。
  二十数カ所のがんが消えていた
 食事療法の威力を痛感したのは、直腸がんが進行し、肝臓に20カ所以上転移した63歳の患者さんのケースです。主病巣である直腸は切除しましたが、肝臓のがんは数が多すぎて根治切除が不可能でした。そこで24時間抗がん剤を注入する「肝動注ポート療法」を行いつつ、減塩、動物性たんぱく質と脂肪を一切とらず、野菜、果物、海藻、玄米による食事療法を施しました。十週間後、大小20カ所以上あった肝臓の転移巣がすべて消えて、二種類の腫瘍マーカーも正常値になったのです。これは抗がん剤の効果に加え、先述した八項目の食事療法によって免疫力が高まったからだと思われます。しかし、食事療法は薬のような即効性はありませんので、一度始めたら絶対にやめないことが大事です。それについては苦い体験があります。

 あるがんセンターで切除不能な食道がんの抗がん剤治療を受けた結果、腎不全になり、私のいた病院の緩和ケアに入院してきた患者さんがいました。腎不全が改善すれば食事療法が可能になりますから、点滴と利尿剤で腎不全を治してから、食事療法を始めたのです。二ヶ月後、病巣がかなり縮小したので、春先に退院して自宅療養にしました。ところが、翌年の正月、病気がよくなって安心したせいか、好物のマグロのトロと熱燗を飲み始め、食事療法を中断してしまったのです。患者さんは再び病状が悪化し、四ヶ月後に亡くなりました。悔やんでも悔やみきれない症例です。

 自宅療養の場合、食事療法を続けるには家族など協力してくれる人の存在が不可欠です。前立腺がんを手術した後、直腸、胃、食堂にがんが見つかった75歳の患者さんの場合、直腸を20センチ、胃を三分の二切除するという大手術をし、食道は内視鏡で処置しました。三週間の入院後、実家に帰られたのですが、食事療法を中断すると再発するおそれがあるので、減塩、玄米菜食中心の食事を守るようお願いしました。その後、その患者さんの依頼で、ホームヘルパーの資格を持つ人が、病院の食事療法について教わりに来ました。朝食はニンジンとレモン一個をジュースにし、ハチミツを加えたもの。しぼりたてのグレープフルーツジュース、リンゴ、バナナ、トースト、カフェオレ。昼食と夕食は玄米に青菜のおひたし、かぼちゃの煮物、大根おろし、煮魚など、塩分はできるかぎり減らし、野菜・果物は無農薬有機栽培のものにする。

 食事療法を始めて七ヶ月後の定期検診のとき、食道のがんはきれいになくなっていました。再発もありません。私は思わず患者さんと握手して「よかったですね」と喜び合いました。

 消化器がんは、食習慣による代謝障害ですから、細胞がその習慣から脱出するまで根気よく続けなければなりません。がんは慢性の代謝病なのです。

50歳で胃がんを手術し、10年後にがんが脊椎に転移して歩行困難になり、車椅子で緊急入院してきた患者さんもいました。MRI検査で、第九、十胸椎にがんが転移し、脊髄が圧迫されていることが判明しました。私はステロイドでむくみをとり、放射線治療を施しました。しびれは改善されましたが、ほかに手段がないので、食事療法を始めたのです。毎日の食事の内容は、無農薬有機栽培の青汁を200cc、玄米菜食、果物、豆腐、納豆、根コンブ、海藻、キノコといったものでした。

 食事療法を続けるうちに、患者さんがみるみる元気になるのがわかりました。二ヶ月後には自力で歩けるようリハビリを始め、そのひと月後に退院して自宅療養することになりました。一年半後に背骨がまっすぐになり、普通に歩けるようになっていたのです。

 これまで食事療法によって治癒した例ばかりを紹介してきましたが、もちろんすべての患者さんががんから生還したわけではありません。私は以前、過去十年間に診察した晩期がんの患者さん70例について、「晩期がんにたいする栄養・代謝指導」という論文を、日本成人病学会で発表しました。

 70例のうち、胃がん17例、結腸・直腸がん18例、胆道がん5例、すい臓がん4例、肝臓がん2例、食道がん5例、前立腺がん3例、その他が16例です。先に記した八項目の食事療法を半年以上続け、さらに抗がん剤を47例に、肝動注ポート療法を5例に、放射線照射を22例に施しました。

 その結果、生存は42例(60%)、死亡は28例(40%)でした。完全寛解は8例、有効は29例、不変2例、進行3例で、奏功率は52.9%でした。まだまだ5割強の奏功率ですが、いずれにせよ、がんを治すのは医者ではなく、患者さん自身の治癒力なのです。がん体質から脱却し、治癒力を高めるには、食事による栄養・代謝療法がいちばん有効だと私は信じています。

    医者の健康法と食事
 さて、「まず隗より始めよ」という言葉通り、医者が不健康では説得力に欠けるでしょう。先に紹介した私の恩師、中山恒明先生は、「食べるな、痩せろ! 外科医たるもの、自分が健康を維持できなければ、患者さんを助けることはできない」と口癖のように言っておられました。中山先生は先年、94歳で天寿を全うされましたが、緑茶が大好きで一日に何杯も飲まれ、自宅の菜園で採れた大根、ジャガイモ、キュウリなど無農薬野菜や果物を毎日食べて、夜8時には就寝されていました。

 また、世界女医会の元会長で東京女子医大名誉教授の三神美和先生は95歳まで週に一回女子医大で診察され、105歳の今も矍鑠とされています。5年前、お花見の宴でご一緒した折、健康法をうかがったところ、「済陽さん、私の朝食は、大根、ニンジン、ヤマイモ、キュウリ、レンコン、セロリ、タマネギ、リンゴなど野菜や果物のすりおろしだけなのよ」とおっしゃられました。お昼はソバかパンを少し食べ、夕食だけ普通にいただくとのことでした。

 私自身はどうしているかといいますと、毎朝5時に起床し、煎茶を二、三杯飲みながら新聞に目を通します。朝食は7時ごろから。先にあげたグレープフルーツ二個をしぼりハチミツ大匙二杯を入れたジュース500ccを飲むことから始めます。週に二回ほどは、そのジュースに大根の葉、小松菜、ほうれん草、キャベツ、レタス、セロリ、パセリなどの新鮮な野菜から作った青汁を100cc加えて飲んでいます。

 食事は玄米、納豆、味噌汁、漬け物、梅干しが原則で、味噌汁の具はシジミ、アサリなどの貝類、ワカメと豆腐、ナメコ、シメジなどのキノコ汁あたりが定番になっています。副菜にモヤシ、タマネギのスライス、キャベツなどの野菜炒めと目玉焼き、大根おろし。大根おろしは湯飲み茶碗一杯を食べます。これはメイ牛山さんが信奉していた栗山食事研究所の栄養指導を取り入れたものです。そして根コンブ一枚を口に入れ、しゃぶりながら家を出ます。

 昼食はリンゴとヨーグルト500ccだけ。それだけだとお腹が空きますので、三時ごろにはバナナやオレンジ、マンゴー、あるいはアーモンドなどのナッツ類を食べます。実はこれにはお手本があって、一昨年98歳で永眠された東北大学の槙哲夫先生のお昼が50年以上リンゴと牛乳だったのです。私も槙先生にあやかってリンゴと牛乳の昼食にしてみたところ、お腹がゴロゴロいって不安定になったため、ヨーグルトに変えました。リンゴの水溶性食物繊維ペクチンには大腸がんを予防する効果がありますが、活性酸素を除去するポリフェノール成分も豊富です。ただこれらの成分はリンゴの皮の部分に多く含まれていますので、皮と一緒にすりおろすといいでしょう。

 外科医にとって視力と体力は生命線です。塩分を控えてカリウムを摂取することはがんを予防するだけでなく、老眼や白内障も予防する効果があります。この昼食はほとんど無塩ですし、朝食もたっぷりカリウムをとっています。また、我が家のしょうゆは減塩しょうゆに同量の酢を入れて使っています。

 私はお酒が好きですので、晩酌は毎日。つまみは野菜の浅漬け、ザーサイ、枝豆、ナッツ、魚介類などで、肉料理は週に一回程度です。夜は比較的食事の制限をゆるやかにしていますが、なるべく9時過ぎには就寝するようにしています。

 しかし、がん患者の方は絶対にお酒を飲んではいけません。アルコールが肝細胞を傷め、代謝や解毒作用を弱めて免疫力を低下させるからです。

    晩期がんをあきらめてはいけない
いろいろ書いてきましたが、減塩、低たんぱく低脂肪、玄米菜食、果物、乳酸菌、海藻、きのこ、水をたっぷりととる食事療法の概要はわかっていただけ
たでしょうか。私の治療方法は、進行がんの場合、なるべく早く手術で病巣を取り除き、最低限の抗がん剤、放射線治療を施しながら、食事療法を並行して行なうものです。がんの病巣だけ切除しても、がんを再発させやすいがん体質は治っていないからです。

晩期がんは治癒率も低く、手術不能、処置不能とされることもあります。残るは緩和ケアしかありません。しかし、食事による栄養代謝療法によって体質が変わり、よくなる患者さんもいるのです。あきらめてはいけません。私の食事療法はまだ完成していませんが、多くの患者さんに生きる喜びを与えていると思います。私のライフワークは、そうした晩期がんの患者さんを少しでも多く助けることです。そして、がんが治るとしたら、それは私の力ではなく、患者さん自身の治癒力によってなのです。



済陽高穗(わたよう たかほ)
都立北寮育医療センター副院長
  前千葉大学医学部臨床教授・医学博士
  西台クリニック院長
  三愛病院研究所所長 


参考資料: 
  「今あるガンが消えていく食事」済陽高穗著 1365円
  「今あるガンが消えていく食事(実践レシピ集)」1200円
両方とも (株)マキノ出版刊
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# by t-nobukawa | 2010-03-17 18:59